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令和2年7月のパブリックコメント投稿

令和元年6月11日,総務省から『無線従事者規則の一部を改正する省令案に対する意見募集』が行われました(参照).この意見募集は,先の「電波有効利用成長戦略懇談会フォローアップ会合」の提言を踏まえ、無線従事者が常に最新の知識や技術の習得に努めることに関する規定を新規に追加しようという法令改正案に対するものです。

同7月23日,この意見募集に対して意見提出しました.ここに,その提出全文を掲載します.


大筋で賛成する.近年のICTにおける進化は著しく,また当分野における諸外国の成長も顕著である.我が国の技術力および産業地位の維持・向上のために,当該改正は必要と考える.

一方で,アマチュア無線技士に対してはこの改正はそぐわないため,規定の対象より除外するべきと考える.

なぜならば,アマチュア業務それ自体が,国際電気通信連合憲章ならびに我が国の電波法施行規則によって,
「金銭上の利益のためでなく、もつぱら個人的な無線技術の興味によつて行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務」
と定義されているからである.当該改正案にある「無線設備の操作に関する知識及び技術の向上」は,当然「自己訓練、通信及び技術的研究」の範疇に含まれていると解釈でき,したがってアマチュア無線技士に対しては既に法的に自然に要求されているものと考えられる.

ここで,この要求には,「もつぱら個人的な無線技術の興味によつて行う」という,非常に強い自主性が伴っていることに注意したい.この強い自主性こそがアマチュア業務の本質的部分であり,広範な分野に渡る「自己訓練、通信及び技術的研究」を可能にしている.先だっての「電波有効利用成長戦略懇談会 令和元年度フォローアップ会合」における提言や,それを受けた無線局免許手続規則改正では,アマチュア業務を IoT 人材育成へ利活用しようという,進歩的な価値付けがされた.ここでもまさに,アマチュア業務の自主性と広範さに対して,大きな役割が期待されている.

したがって,アマチュア業務における「無線設備の操作に関する知識及び技術の向上」は,努力義務という形で上から強制されるべきものではなく,それよりも遥かに強い自主性によって自然になされるものである.

以上の理由により,この度の努力義務規定をアマチュア無線技士に対しても適用させることは,ある種のダブルスタンダードを生むばかりか,アマチュア業務の自主性の非尊重にもなり得ると考える.ゆえに,当該改正案は,アマチュア無線技士をその対象から明確に除外した上で施行されることを強く望む.


履歴

令和2年7月12日意見提出

令和2年7月18日掲載

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